Within Temptation - Covered By Roses (lyric video)

ブログ アーカイブ

精神分裂病検査のない違法措置入院、逮捕状のない大阪拘置所違法24日間拘留

私は、文部科学省脳科学研究戦略推進プログラム、理化学研究所人体実験被害者です。法務省、大阪地検、大阪高検、米子地検、大阪簡易裁判所、最高裁は、捏造社民党名誉毀損事件を画策、家宅捜索礼状のない家宅捜索、逮捕状のない大阪拘置所違法24日間拘留によって、自民党、公明党、社民党、共産党、学者と全大学、全企業、全官公庁による窃盗、夫殺害、株不正売買、米子市養和病院違法措置入院、40にも及ぶ違法有料ブログ解約、厚生労働省、医師会、歯科医師会、看護士会、介護士会、各政党と党員、キリスト教、天台宗、創価学会、幸福の科学、ものみの塔など宗教法人と信者による音声送信とストーカー、嫌がらせ、自民党社民党によるOCN、EDIONenjoy違法プロバイダ解約等の証拠隠滅を行いました。私は、詩人、エッセイストでもあり、翻訳家でもありますが、私の詩、エッセイ、翻訳詩、翻訳小説、翻訳文を、日本政府は、世界中に売っています。

プロ以上の翻訳を成田悦子

  • Good-bye to All That XV Robert Graves 成田悦子訳 - VX 1915 8月の終わり近辺でバシィに対して生じている攻撃の詳細は若い本部付き士官らを通じた漏洩が始まっていた。フレンチ民間人らはそれについて心得ていた;つまり、当然、ジャマンズ相手だ。毎晩今や新しい砲兵中隊や砲弾の貨物自動車‐列車がベチューヌ‐バシィロウドゥをゴロゴロ音を立てながら近づいて来た。活動の他の...
    5 週間前
  • Good-bye to All That Robert Graves 成田悦子訳 - XⅢ ここに僕が当時書いた手紙からの抜粋がある。僕は場所の名前を復元した、僕達はそれに触れることを禁じられた:ー 5月21日、1915。ラ・ブアスと呼ばれた石炭‐採掘村の兵士宿舎に戻る。それは前線から3マイル以上はないが、坑夫は今なお働いている。僕達が塹壕から遠のくにつれ...
    5 か月前

2012年4月10日火曜日

ねえあなた 約束のない春の日に

約束のない春の日に
遠く透かす桜の花びら
とその叙述
空に遠く
しなやかな羽
鳥である事とその困難

ねえあなた
時に貴方は手懸(てがか)りを求める
私は権利や自由より奴隷である事を身の内に納める器具になりたい
背に負う刑罰は可愛がられるだけの
私への関心は手に持てるだけでいい
秋、きれいに足を洗う波
通り抜ける子供の声

15:06 2012/04/10水曜日

2012年4月9日月曜日

ねえあなた 私は言葉を奪われ感情を奪われ貴方を奪われました


名誉を傷付ける常に正しい政府は宙ぶらりん
正しい政府は父と母から目と耳を奪う
それから子供と母親の名誉を傷付けるプロラクチンとオキシトシンがよい母親とよい子供を作る

ねえあなた
間脳視床下部も卵巣も私にはない
切り取られてない
ねえあなた
私は言葉を奪われ
感情を奪われ
貴方を奪われました

常に正しい政府は分別がつかない
プロラクチンとオキシトシンが常に正しい子供と常に正しい母親を狂騒させる
在りもしない回路は医師によって形成される
それはまるで脳科学者が創り上げた物の様で
共認回路が自我回路を制御
一部は封印され、自我が形成されると言います
自我は卵子精子の時代に既に形成されています

他者否定は自己正当化と主張する政府は
人類を滅亡に向かわせる事も正当化
それはまるで脳科学者が創り上げた国家の様です

ねえあなた
間脳視床下部も卵巣も私にはない
切り取られてない
ねえあなた
私は言葉を奪われ
感情を奪われ
貴方を奪われました

21:08 2012/04/09月曜日

2012年4月8日日曜日

ねえあなた 人は誰でも広い海

Philippe Léotard - Je Chante Pour Passer Le Temps 

釣り合いの取れない目
影を描く絵の具に比すれば痛みが続く悦び
床に感覚の模様
終わったように不名誉の影を切り離す
折れ曲がる陰鬱
重ねる無味無心の韻律
ねえあなた
人は誰でも広い海

釣り合いの取れない耳
萎縮病に罹った外皮
死を齎(もたら)す捩(ねじ)れ
人跡稀(まれ)な破損の道
無始無終の韻律
濁った時代、幻日に思いを焦がす
ねえあなた
人は誰でも広い海

23:51 2012/04/08日曜日

2012年4月7日土曜日

ねえあなた 私が悪かった

憎しみは未だ凶器とならず
愛など直ぐに手に入る腐った褒美
つまらない音に終わりが近付く
つまらない小説に生命(いのち)を奪われるのはいや

ねえあなた
私が悪かった

いつも切(しき)りに言ったのに

幸運は荒れた海の底にありそう
鮮やかにひっくり返る生命の青
波の音が明白を拉(ひし)ぐ
否に背かず
されどに支配されず
一片の美は行き帰る

ねえあなた
私が悪かった

いつも切(しき)りに言ったのに

21:01 2012/04/07土曜日

2012年4月6日金曜日

ねえあなた 貴方が書いた歌は好きだわ

ねえあなた
第二次世界戦争は
アヘン売買商人がアヘンの代わりに日本を売っただけの話
電力会社の原子力実験場
悪魔の栄光ノーベル賞
湯川秀樹は原子力委員を辞めた
止めるべきは人間であった其の事

ねえあなた
朝鮮半島はハイエナと理化学研究所の出会い
原子に力はない
核にあるのは破滅の種子
欲望の運河に白い腹を見せる魚が浮かぶ
今ではもうあらゆる文字に力が付く

ねえあなた
果実は実らない
果実は熟れない
貴方は春を待つと書いた
貴方に春をあげたいと思う
今年の春に花は咲かない
花は散らない
貴方に春をあげたいけれど
私にも春はない

貴方は貴方の時代の視線で
私は私の時代の視線で
180度の視野を持ちながら
30度の視界の中で生きた
私は時代の形から抜け出せず
貴方に辿り着く事が出来ない

ねえあなた
貴方が書いた歌は好きだわ
背丈は違うし
従うものが違う
貴方の声は初めから明らめている
貴方の目は初めから何も見たくはないと言っている

21:28 2012/04/06金曜日

2012年4月5日木曜日

ねえあなた 触ってほしい

花を飾る花瓶が
聞いた事のない言葉に潜った
間々定めの方へ向かうのは仕方なく
見た事のない形に
我、床に被(かぶ)さる
離れられない人
元に戻る日を誰にも
洩らしてはいけない

ねえあなた 
幸福は短縮形
切り刻む風
湖の上
赤いボートの囲い
其の中に住んで
しがみついてみたり
ぶら下がってみたり
ふたつの鎧(よろい)が籠(こも)るには
定まらない波

未熟児は清潔なガラスの箱の中
詰め込まれる粉ミルクと液体
私の好きな湖
さざめきがむしゃらに
ねえあなた
触ってほしい
傷つけてほしい
この内側
透明で差し障りのない場

15:35 2012/04/05木曜日

2012年4月4日水曜日

ねえあなた かもめよ

かもめよ ねえあなた
今日も免(まぬが)れない空を飛ぶ
其の下
私は生き
貴方は逝(い)った

不具な上に急ぐ
捨ててもいないのに
記憶は
ありふれた夕暮れ
胸に悲しみさえ成立させない

かもめよ ねえあなた
地上の一切は荒れ果て
何処かの誰かと費やす
息と時
美しく染まる波の上辺

いつもかもめは
獣(けだもの)と私のような隔たり
ばらばらに売り
割り当てて拭い去る
遠く懐かしい潮の記憶
幸運を追い求めた海

ねえあなた かもめよ
咲いては散る春
私は生き
貴方は逝った
突然の沈黙は素敵
もう私の首を絞めていい

15:18 2012/04/04日曜日

2012年4月3日火曜日

ねえあなた 桜が咲く頃に

ねえあなた
桜が咲く頃に咲かない
誰もいない何もない春の話
名実相伴う純潔
無駄に通じる女と男の間を
深い波線が走る

ねえあなた
桜が咲く頃に合わせて心が迷う
夢のように抱き合った
中位いの傷に
差す光
散る花

ねえあなた
桜が咲く頃一つに重なり
ふたすじの道を死に向かう
そうしたいと思ってもどうにもならない手足
ほんの少し抱いて
そして今は踊りましょう

誇りは夕暮れに留(とど)め
疲れて恨みに仕える
ねえあなた
桜が咲く頃にただひとり
桜が咲く頃に貴方から自由になりました

21:53 2012/04/03水曜日

2012年4月2日月曜日

ねえあなた 亜米利加、立ち止まると其処に砂漠が

貴方の愛を勝ち取りたい
謎のような言葉
焦げつく罪の訛(なま)り
思いがけなくふしだらな
ありそうなくらいにふしだらに

ねえあなた
涎(よだれ)は何(なに)に影響するの?
冗長に勝る徒(むだ)が流れる国家の首筋
亜米利加は全速力で走った
何故だか分かる?
立ち止まると、其処に
砂漠が
愛国を叫ぶ声が真に迫るのは
皆が私生児
誰もが異邦人
意地の悪い他国の純潔愛好癖
受容し受容し
走り続け走り続け
疲れたと言えない国と人

ねえあなた
私は忘れない、貴方は私の憧れだった
貴方の愛を勝ち取りたいと願った日々
祀(まつ)り上げては葬った言葉
熱く重い罪の鉛は今も日本の何処かの港に
荒れて不埒(ふらち)な
憂えて顧みる海に

22:37 2012/04/02月曜日

2012年4月1日日曜日

ねえあなた 亡(ほろ)びてもかまわない

受け流すのは苦手
曖昧(あいまい)な茂みには何もない
群れを成すのは苦手
立証する癖
測れないものを測りたがるちっちゃい冒険装置
ねえあなた
正しくないところに揺れるすみれを知っている?
一面に咲くむらさきの花
ちょっと酔っ払って亡(ほろ)びてもかまわない

どうでもいいから開けてみる?
分けの判らないゲームのワインボトル
セックスと飲酒は祈りに似ている
制御不能の意志
ねえあなた
眠りは大きく成り過ぎても小さく成っても向かい合えない
あっちへ行ってもこっちに来ても瞼(まぶた)が結べない

寝(い)ざとい
寝穢(いぎたな)い
暗くなるまで箱の虫
明るくなるまで理由の盾(たて)
ねえあなた
あっけなく終わる単調な韻律
きちきちの身ふたつ模(かたど)った人

22:59 2012/04/01日曜日

寝(い)ざとい・・・目が覚めるのが早い(目ざとい)、見つけるのが早い
寝穢(いぎたな)い・・・寝坊である

2012年3月31日土曜日

雨  親和性社会行動ってナニサ

社会関係ってナニサ
言ってミナ
世の中、関係はイラナイ
集(たか)る事を集まるトイウ
ハエが集る
ゴキブリが集る
貴女、国民の健康保険と税金に集ってンジャナイノ?
貴方、消費税に集るノ?

私、親は慕えナイノ
私、かわゆくて、子供に守ラレ世話サレテンノ
愛着シテ養育スル神経回路切ッタノ?
愛着シテ養育スル神経回路切ラレタノ?
愛着スル子って何だか泣かしてみたくナラナイ?
子供は守ラレタクナイ
子供は世話サレタクナイ
守られナイ世話されナイ養育されナイあかちゃんは
神経回路切れテンノ?
何時も親のない子にナリタカッタ私達
神経回路切りたくってナラナカッタノヨ
貴方の神経回路切れてんじゃナイノ?

親子関係に於ける利益の追求

育てる技術の向上デスカ?
私達母親と私達の子供は
利益にナラナイ事が好きデス
不幸にナル事も好きデス
失敗も好きデス
成功好きは失敗を何かで補ってイマス

雨が降り
雨が降り
雨が降る
頼りにナラナイ親
当てにナラナイ親
しっかりした子供
自立した子供
育てる技術もナク
愛着させる事もナク
喧嘩しては抱き締めた
ぶっては「ごめんね」と言って
眠った後で泣きながらキスをした
雨が降り雨が降り雨が降る

23:40 2012/03/31土曜日

2012年3月30日金曜日

雨 作り事の雨

ざわめく

揃わない

二つに分かれた不思議な物体
つまらぬものを重ねる内に填(は)まらないものになった
色々なフィルム、やってゆけない黄昏(たそがれ)

やってゆけない黄昏(たそがれ)
いつもそうある地の果てを走る汽車の目を見ている
見せしめのかなづかいが始まった頃
谷間に差しかかると道連れや従者を乗せた
一緒に一緒に離れないで

作り事の

毟り取る

やってゆけない黄昏(たそがれ)
窓には明白を掛け斉一を去る
既に人の呼び名が分からない

21:26 2012/03/30金曜日

2012年3月29日木曜日

雨 小降りになった雨

小降りになった雨
箇条書きで語り結ぶ実
偽らない心に惹かれ
新しい始まりを求め
一身に問い続ける

間に合わせに命をつなぐ
脈打つ海
黒衣の地
ぶらんこはひたむきにこぐ
揺れて分かれる約束

卑しい女は動物の尻尾を持つ
金品を盗んでは哀れみに間借り
輝きとずれ
べからずの流れに添う
共に在るのは死

22:22 2012/03/29木曜日

2012年3月28日水曜日

雨 後ろ向きに

筋のように曲がりながら雨が伝う
後ろ向きに下手な事を
度を越さない所有
又とない乱暴
分からなくなるほど追い詰めて
もっと雨を

善いことと悪いこと
定まらない内に懲(こ)らしめる
後ろ向きに下手な事を
下方に滑る細やかな雨
途切れ誤りを整える
もっと雨を

23:55 2012/03/28水曜日

2012年3月27日火曜日

雨 乾いた君そっけなく

乾いた君そっけなく
雨に濡れたい
私は古く
私は年老いて
貴方は若く
貴方は新しいと言えますか?
新しいものと古いもの
どちらに価値がありますか?
どちらかに価値があると言えますか?
私達は生まれ年を取る
何に価値があるか
価値あるものばかりを求めるのもつまらない
価値あるものが何か?
いつも探していたいとは思います

乾いた君そっけなく
雨の吐息に目覚める
若いことはみずみずしいということでした
若い体には渇いた砂の上が似合いました
老いることは女と男が互いにかわゆさを倣(なら)うことです
けれど老いた体は毒を好みます

22:31 2012/03/27火曜日

2012年3月26日月曜日

雨 斯(か)くの如き雨

建つ物が絶えた春
斯(か)くの如き雨
風に乱れ
それでなければ夕暮れに道に迷い

生まれつき皆予備の形
一人違う床の間に身を置く
其の項目に潜んでいる太陽と月
飼い馴らされ後ろ手に

明らめ切れない
仕方のない
盲目(めくら)が寄り合う
神の祭りは人と遠く離れ
揃ってやって行(ゆ)けない

23:40 2012/03/26月曜日

2012年3月25日日曜日

雨 細く雨が降る

終日歌われる愛の歌
見苦しく果敢ないものの有様(ありさま)
海の昔
極めて深く青く

従って死ぬ
従って死ぬ
人に国に自らに
寄り添う否定と肯定
貴方に何があったと言うのですか
貴方に何があると言うのですか

家を出ると道に小花
川が流れ
見上げる其処に誇りが収まる
振り返っても意味は応じてはくれない
見限る日日(にちにち)

細く雨が降る
人はひたすら不自由の懐(ふところ)に向かう
雨は囚われて地に悲を添える

22:11 2012/03/25日曜日

2012年3月24日土曜日

雨 医の頭上に血の雨が降る

昔弾いたピアノ
背く指
自由に雨が降る
落ちる指
徒(いたず)らに雨が降る
人は欠乏に向かう
法は過多に向かう

雨に備える
自由に境も無く隠れ場所も無い
一身に濡れ
隔たる記憶
捨てる現実

精神病院は舌を奪う
光を奪う
不合理を産む
歴史は隔離病棟で作られ
詩人が不安の切符を切る
腐蝕した壁に雨が降る
惜しげなく医の頭上に血の雨が降る
雨は陰鬱に
赤が滲み死を連れ悲しみは地に溢れる

22:33 2012/03/24土曜日

2012年3月23日金曜日

雨 秋、赤い雨が降る

日は
横道に逸れ
机の脚は陰として存在する
間違っても見事に思い込む

窓ガラスに口実をつけ
その辺に日が落ちてゆく
漸(ようや)く日が暮れる
人のこころを世が破り
朝(あした)には定まろう野辺に

振れないこころ
揺れながら純情
獄中にて
夏は失われ
秋、赤い雨が降る

日は
愚かな友
委ねた命を以って語る
流れは迷う
無窮に背き、雲と千切れる

22:52 2012/03/23金曜日

2012年3月22日木曜日

雨 飽きて憶えていない

読んでは閉じ読んでも閉じ
飽きて憶えていない
一度その名前
一度横に
仮に空けた段落
雨、途切れ
表紙の色も褪め

物慣れた声
人に過ぎない
もてるくちぶり
錆びた時代を連れ
押し広げる感傷

日の初めは事の終わり
通り、低く受ける雨
時々一行が苛酷で
遊びのように疲れてしまう

うらやましいほど癖のある
つぶやくように結び
つつむように足を踏み入れる
多分、雨
飽きるほど雨

23:19 2012/03/22木曜日

2012年3月21日水曜日

雨 唯、雨

人にありて人を欠く
人にありて麗しく
異なる世に肯(うなず)き
否定の花は雨に結ぶ

寧ろ
人に非(あら)ずして人の中に在り
人に非(あら)ずして美(うるわ)しく
空を知らず
海を欠く

唯、雨
軽やかに雨
此の慰めに雨
真に依(よ)りて真を離れ
無限を求めて人を知る
雨の如く理由が有り
人の如く理由(わけ)も無く晩(く)れる

人に
仕切られた地
仕える唇
唯、雨
人を真似て人の如く
人に反して枯木となり
縺れて、雨
此の身に慰めの雨

23:02 2012/03/21水曜日

2012年3月20日火曜日

雨は 雨は地に落ち

雨は地に落ち
雨は地に下る
そよ風と会う
雲雀(ひばり)と会う
貴方とはちっとも会わない
ぐだぐだしているうちに雨
ぐずぐずしているうちに雨
ふあんになると雨が降ればいい
みななくなりそうに雨が降ればいい

雨を覚えている
けれどすぺいんに降る雨じゃない
いらだち、塞ぎ込む四方の壁
疲れと失望に持ち堪(こた)える軒(のき)
いやがるうちに雨
つれないうちに雨
あきたりないと雨が降るといい
みななくなりそうに雨が降ればいい

23:58 2012/03/20火曜日

2012年3月19日月曜日

雨 花に落ちる雨

花に落ちる雨
清らかな光の球(きゅう)
風が吹き乱れ
凡(およ)そ空(むな)しい側に

内なる姿神に生まれ
様は露にも足りず
岸辺を求める者
人を貫く
争いの代わりに
落ちる雨を
流れる水を
花に散る雨
目に散る露を

花は雨に落ちて汚れ
いつしか人の手も汚れ
折れて曲がって
人を離れ
色を遺(のこ)さず
凡そ仮初の側に

21:43 2012/03/19月曜日

2012年3月18日日曜日

雨、捨てないで捨てないで

雨、捨てた捨てられた
雨、捨てたい捨てられたい
少女の思い思い出思わせぶり
お古(ふる)のずっく
お古のとらんぷ

雨の日は或るひとに従う
雨の日はひとりよがりな或るかたちをなぞる

雨、捨てないで捨てないで
雨、捨てないで捨てないで
思わせぶりに残らず捨てるの
惜しげもなく瓶に詰めて捨てるの

雨の日は或る約束に従う
雨の日はしめやかに或る否定に根ざす

雨、私は捨て子私は捨てられた子
雨、鞄に詰めて捩(ねじ)って詰めて
生まれてから或る家に泊まり
泊まるお金を払えなくて

雨の日は少し意地を張る
雨の日は身も心も或る星を宿す

23:03 2012/03/18日曜日

2012年3月17日土曜日

雨 いつも雨は

いつも雨は
あなたの裸足と遊び歩く
夜更けに雨は静寂に呼び返され
数多(あまた)の窓を叩く

人は限りを作りたがり
いつも雨は
上辺を洗い
みなしごを産む

いつか雨は後ろめたい
背を濡らし
迷いを嗾(けしか)ける
いつも雨は
上辺を洗い孤児(みなし)を生む

砂の上に置かれる
清い水に流される
船に酔い
空虚に遊ぶ

あたらしい朝を始めると
いつか雨も厭わしく
あなたの近くに呼び返され
光に及ばない身を犠牲に

20:26 2012/03/17土曜日

2012年3月16日金曜日

雨 雨は何であろう

雨は何であろう
どのように雨は降るのであろう
足は何も成し得ず
くちびるは誰かを過ぎて
過ぎたあの時を追い詰める
たどたどしくことばが漏れ
遠のいて

雨は何であろう
どのように雨は降るのであろう
降る身に
降る川に
降る海に
黄金色のことばが忘れられ
冷たさがいとおしい

雨に抱かれることは消えることです
揺れ
移ろう
花の
散る花に降る
雨は抱くひとの行き詰るささやきです

濡れる肩はあなたを知らない
くちびるは誰かに開き
開いたいのちを追い詰める
たわいなく吐息が漏れ
遠のいて

雨は何であろう
どのように雨は降るのであろう

22:02 2012/03/16金曜日

2012年3月15日木曜日

雨 春を告げラレ春に散ると告げラレ

春を告げラレ
一夜眠れない
光に歪んで雨が胸に沈む
樹の辺り灯かりが溢れていた
低い関心を寄せ闇に走る目

春を風に告げラレ
一夜眠れない
遠い砂場に降る雨
低い声の真ん中
少ない変化に絡む鉛

春を告げラレ
一夜眠れない
燕は雨の海辺を走る
私は水の内側で夏を待つ
波が低く声を上げる

生きていたくないと告げ
生きて行けないと告げラレ
遠い砂場に降った雨
春を待てないと告げ
春に散ると告げラレ

22:44 2012/03/15木曜日

2012年3月14日水曜日

雨 人形

日の当たる部屋で
人形を抱き
人形のように黙り込んで
人のこころを読み終えると
人になり
人形の腕を掴むと人になる

言おうとして
忘れてしまう人の言葉
たまらなく惨めな夕べは
通りに出て花を買う
ありのままの人が行き交い
見ている内に人になる

雨の日は囚人
人形の息づかい
人形のように目を閉じる
埋葬の時と埋葬の人を待つ
雨の日は
ただ訳もなく誰からも嫌われる人形

22:35 2012/03/14火曜日

2012年3月13日火曜日

雨 雨の朝

雨の朝
道は鎖される
分かったかのような結末が気楽に空から降る
切り離したい
出鱈目(でたらめ)な手足
凭れて寄りかかる壁 言葉その代わりに
ずいぶん窓の外・・雨

雨の朝
でたらめな結末は絶望的に意志の上に降る
分かったかのように首を振り
混乱をおびき寄せる雨だれ
連れて落ちるくれよんの
きれいなをひとを拒む筋道

雨の朝死んだうさぎ
正しい埋葬はいつも不満で果敢ない
幸福に動揺する滴 言葉その代わりに
淀みなく窓の外・・雨

20:45 2012/03/13火曜日

2012年3月12日月曜日

雨 女になって

雨が降っていたから
雨が降っていたから
言い訳ばかりする

私は帰りたくないと言った
貴方がどう言ったか覚えている
貴方は部屋を出て行った
私が抱いて欲しかったかと言えばそういう気持ちはなかった
貴方は私をベッドに寝かせ
部屋を出て行った
貴方がどう言ったか忘れていたら
と言っても忘れていても忘れていなくても
貴方はもういない
私は若くはない
貴方はいない
私は生きているのか
生きていないのか
息だけはしている
食事だけは摂っている
帰りたくないのは
電車がなかったそれだけのことだ
電車がもうないと私が思うまで貴方が話したがり
電車がなくなるまで貴方が話したがった
貴方の話を途切れさせることが出来なかった
電車はないけれど、明日の朝までに家に着けばいい
線路伝いに歩いていつか私の家に着くか
途中で道端で休んで朝を待つか
明日の朝
会社に行けばよかった
貴方といることがその時何より大事だったわけでもない
大事だと思うことなど私にはない

雨が降っていたから
雨が降っていたから
言い訳ばかりする  

それから
帰りたくない
帰りたくない
そんなことを男に言っては
女になって

21:18 2012/03/12月曜日

2012年3月11日日曜日

雨 窓を開けて

雨が降る
惨めさの脚が急いで
眼差しで代償を払う
窓を開けて
ぼうっとして
滴(したた)る絶望を見ている
窓を閉めて
ぼうっとして
雨で曇る話
雨に混ざった慰め
絶対に忘れない
絶対に振り向かない
扉を開けると戦争が終わっている
半分だけ人の叫びを信じている
窓を閉めた部屋で
ぼうっとして
雨で曇る顔
ずっと前から寡黙
もともとひとりぼっち
もともと私がすべて
扉を閉めると希望が後悔に変わる

窓を開けて
ぼうっとして
滴(したた)る絶望を見ている

21:02 2012/03/11日曜日

2012年3月10日土曜日

雨 男と女の間

身を捩(よじ)るほどの愛も
俄かに卑しくなる
男と女の間
降り注ぐ雨
目の中とお皿の上に罠がある

淀みに好んで引き摺り
引き摺り込まれ
肘掛椅子に座る
愛はいつも寝たい事である

耳障りな傷
目障りな愛の歌
刺すような痛み
柵で隔てる

幾度(いくたび)険しい道を越えても
お前は難しい
男と女の間
降り注ぐ雨
きりもなく喉の奥と窓の硝子
雨に濡れる

15:34 2012/03/10土曜日

2012年3月9日金曜日

雨 雨が散る

囹圄(れいご)を嘲笑(あざわら)うヒトの
身に踏み行なうあらまし
落花うるわしく
月と陽は散り散りに一日を成す

濡れて
冷ややかなテーブル
破り砕くぐらす
明白な価値(あたい)は
ヒトの懐(ふところ)から遠ざかる

雨が散る花が散る
私が一番惨めだったあの日
側にいてほしかった
いえひとりでよかった
くちびるの容(かたち)と其処から漏れる音
聞こえなかった
聞きたくなかった

散る花は忘れられ
落ちて自らと吊り合う
側にいてほしかった
いえひとりでよかった

22:58 2012/03/09金曜日

2012年3月8日木曜日

雨 一度だけ私は

早い朝
夢の中で千切れたためらい
焔の夕べ
延々と続く絞首刑に人影は絶え
檄文の陶酔と血塗れの沈黙
聞こえるのは雨のワルツ
一度だけ私は薔薇色の夢を

夢は
逃げては浮かび上がる
書きとめる間もない
分かち合うものはいらない
分かちあうものを知らない
壁に貼って雨のワルツ
目を伏せると私は薔薇色の夢を

そして
清らかな空
森の苺に熱いくちづけ
少女のように悦びを引っ掻き回し
目を見開き湛える広野
聞く雨のワルツ
振り返って私は薔薇色の夢を

21:28 2012/03/08木曜日

2012年3月7日水曜日

雨 熱く雨が降る

荒れ果てたこころの前
死ななくても生きていても引き受ける
顔を背けず口にして説き伏せる
さびしい嘲笑
投げ捨てる思考
守らない男
破れた女
熱く雨が降る

幾晩も憶(おも)い出は
救いの声の後を追い
恥ずかしいドアを開け
転げ落ちた街に出かける
萎(しお)れた花と離れられない

荒む空ろなこころの前
死ななくても生きていても目を当てる
名誉を捨て詩の運命に震える
さびしい目つき
詩の死に手を貸す詩人
言葉の死を求める汚れた口
びくびくしてはやつれる男
床の艶と共に剥げる女
熱く雨が降る

21:33 2012/03/07水曜日

2012年3月6日火曜日

雨 脳は青く深い湖

言葉を繋ぎ言葉を結び合わせ
言葉を終え
貴方とのことを終え
私が見たのは誇り
受け容れる貴方の目を背に扉を閉じ
途方もなく注がれる雨

どんな貴方でもよく分かります
瞬きもせずに考える姿
助けることが必ずしも支えとは言えません
有る限りの力を出して女は子を産むと言います
貴方は痛みも知らず
ずいぶん声をかけますが
私は痛いし同情は何の痛み止めにもならないし
痛いからと言って死ぬほどのこともない
どんな私でも貴方は分からないと言いました

貴方は貴方で貴方は脳ではない
脳は暗号ではない
記号でもない
何かの前触れを教える情報の収納庫でもない
青く深い湖
燃え尽きては
貴方を満たす青く深い湖
耳を傾けると
刻まれた貴方の時間が
目の前の貴方とは違っている貴方の姿が

言葉を繋ぎ言葉を結び合わせ
言葉を終え
貴方とのことを終え
私が見たのは誇り
人を攻め渇いては
途方もなく注がれる雨

21:43 2012/03/06火曜日

2012年3月5日月曜日

雨 逃げ出せない靴

ベンチはいつも雨に濡れなければならないから
投げやりな足は
生まれてから染め上げた青い空の色を待たなければならないから
逃げ出せない惨めさを
ぶ厚い雲が口を噤んでじっとして待つていてくれるから
ひとりじゃないんだと腕を開いて抱き締めて
ひとりじゃないんだと手紙に書いて送って

ベンチではもうひとりじゃないから何も思い出せないから
触れ合った手は
部屋の外、満ちた青い空がどこにあるのか分かったから
逃げ出せない靴を
流した雨が降るのを待たなければならないから
ひとりじゃないんだと腕を開いて抱き締めて
ひとりじゃないんだと手紙に書いて送って

ベンチでは忘れられたぶ厚いノートを雨が埋め尽くす
きれいな服を見つけたら貴方を許せるから
そうしたら閉じ込めた青い空の色を思い出せるから
ひとりじゃないんだと腕を開いて抱き締めて
ひとりじゃないんだと手紙に書いて送って

23:13 2012/03/05月曜日

2012年3月4日日曜日

雨 誰かが雨が死ぬ

雨が降る
何事もないわけではない
雨が降る
雨は降る
雨が射る
穢れた世に雨が降る
汚れた水が雨が降る

雨が降る
いろいろあるわけである
雨が死ぬ
木々が死ぬ
大地が死ぬ
誰かが死ぬ
見詰める間に雨が降る
破滅した人に雨が降る

雨が降る
セックスとドラッグの欲望を満たす人々
猿に似た真理の遂行
軽はずみな祈りの誰かが
誰かが悪いの
誰かに苛められたの誰かに
だから誰もを陥れるの誰でも
人も此の世もとらえどころがないから不安なの

雨が降る
幸せに
幸せな人に
幸せな家族に
何もなければないで
何かがあればあったで
幸福は不幸に変わる
雨が降る
雨が降る
雨が死ぬ
木々が死ぬ
大地が死ぬ
誰かが死ぬ

21:26 2012/03/04日曜日

2012年3月3日土曜日

雨 詩的自由を取り戻さなきゃ

雨に打たれたいのね
突き詰めて考えないで
詩的自由に拘り塗り込める仮構の暗い空
鳥を放てば貴方は自由になり
空は何時の間にか晴れる

雨の夜
恋を分析してはいけないわ
詩を限定してはいけないわ
私をひとりの詩人として断絶しないで
貴方は疎外されたいの?
それとも虚無に向かいたいの?

あんなにつまらない否定
女にまで逃げられてしまう
詩的自由とは
誰かが母を産むと書くと
誰かは父を産むと書くこと
言葉を紙に並べて集めて仕舞うと
実に不自由

小雨の庭でさえ
言葉はこんなにも不自由
人に触れるとなおさら不自由
数知れない言葉を拒否し
こともなげにくちびるを奪う方がいいわね

22:50 2012/03/03土曜日

2012年3月2日金曜日

雨 雨はおしゃべり

雨はおしゃべり
絶え間ない小鳥の震え
こっそり泣いてないで
空から降りて来て
ダンスを踊って
歌も歌って
私が溜息をついたら
忍び込んで
包み込んで
手練手管は置き去りにして

あなたによれば
虚栄は口に出さないと大して意味がない
けれども
無頓着(むとんじゃく)よりまし

雨はおしゃべり
見限らない夕暮れの痛み
密かに冷たくしないで
空から流れて落ちて
祈りを聞いて
願いも叶えて
あの人が傘を開いたら
潜り込んで
しがみついて
指が触れると気が遠くなるほどの感ちがい

あなたによれば
告白は口に出さないと大して意味がない
けれども
諦めよりまし

雨はおしゃべり
オレンジグレイに包まれて
降り続く雨
長続きする物語り
低い声で
一言も言わないで
私が手を離したら
押し流して
解き放って
欠伸には決して耳を貸さないで

あなたによれば
虚栄は口に出さないと大して意味がない
けれども
無頓着(むとんじゃく)よりまし

23:58 2012/03/02金曜日

2012年3月1日木曜日

雨 君は何を疲れ何に疲れ何故疲れた

タバコヲ止めた
裸体が開かれ
部屋に通される都度
愚図な女を相手に嘘をついては
肉体的に落ち易い厄介さを楽しむ

君の音楽を聴いている
みずみずしい音
潮が満ちて引き
君の無駄で馴染みの無い音がある
冷えて激しい音
褪めて激しい詩(ことば)

目を閉じ君の声を聞いている
待ち望んでいた雨
幸いが口を塞ぐ
言い終わらないうちに雨
激しい雨

恋する女に
慰めの

往来に出ると雨
腕を流れ
落ちる雨
君の音が滴(したた)る
女の道は何時も子供が道を塞ぐ
激しい雨

恋する女を
宥(なだ)めるように

走り出すと疑い始めている
君は何を疲れ
何に疲れ
何故疲れた
妙に装ってみたところで雨
冷淡な雨

恋する女の
均整の取れた
足に


23:02 2012/03/01木曜日

2012年2月29日水曜日

幸せになりたいかって貴方が聞いてくれた事がうれしい

幸せになりたいかって貴方は聞くわ
そうね、
幸せになりたいと思い
次に幸せにはなれないと思う
だから幸せとか不幸せとかはどうでもいいことになっている
幸せが好きか?と聞いてみて
う~ん、幸せはあんまり好きではないわ
だから幸せにしないようにしておいて

幸せかってあの人も聞いたの
そうね、
その時私は答えられずに
貴方は幸せ?って問い直した
貴方は幸せだと言い
私は幸せという言葉をいとも簡単に口にする貴方のくちびるを見ていた
だから幸せとか不幸せとかはどうでもいいことで
幸せについて問うこともなく
貴方に尋ねられても何だかね

生きていて
幸せであるとか
不幸せであるとか
それは胸に思う全てなのかも知れない
私は生きたくてたまらないほどでもないから
生きて幸福でありたくってたまらないほどでもない
幸せですと言えば幸せでしかなく
不幸せですと言ってしまえば不幸せになってしまう

幸せになりたいって昔思ったことがあるわ
そうね、
その頃幸せになるために人は生きるのだと思っていた
幸せであることが生きていることの証だと思っていた
あまり幸せとは言えなかった私は
幸せになれなくて
だから
人にもなれなかった
そうね、
生まれたときからずっと
そう思って生きていた
未だに人になれない私は
人に幸せを求めることはない

幸せになりたいかって貴方は聞くわ
そうね、
貴方がそう聞いてくれた事
それがうれしい

23:30 2012/02/29水曜日

2012年2月28日火曜日

存在 暗い夜に

暗い夜を誰もが歌う
暗い夜に誰もが秘密にする
暗い夜には家の鍵をかけて
明るい場所を見失う

春の初めに求めた息
生きようとすれば
花の咲く朝を忘れ
鳥が飛ぶ空に目を遣らず
風に触れる足が果敢(はか)ない
どうにもならないことにささやかな事は奪われる
こころを奪われ片輪になる

夜には
数行書いて
半分だけ
本心
暗い夜には
膝や肘は手や足にくっついて
ありもしない行きもしない行けもしない
明るい場所を向く

夜は暗い海
貴方に向かい
貴方に背を向ける
過ぎ去った日日を手で掴んで
は流れに見失う

21:42 2012/02/28火曜日

2012年2月27日月曜日

存在 頭のいい卵を愛したの?

子供がほしい
貴方の子供がほしい
愛は
貴方の精液が私の体の中の卵に
どうしても要るということなのよ
今日と明日と明後日
貴方の精子がどうしても要るということなの
愛するということは
その一瞬
貴方が私の中の卵にとって必要だということ

子供がほしい
貴方の子供がほしい
貴方の子供がほしいということは
貴方を愛しているということなのよ
愛することは
私や貴方の深い層の
人の入り込めない部分に
貴方が居るということではない
貴方の子供がほしい
それが愛するということ

子供は私が育てるわ
なんて言わなかった
子供は私が子供だから育たない
大人の貴方も一緒に育ててと言ったのに
君は頭がいいから君が育てるように
貴方はそう言う
子供に私の頭の良さだけを伝えたい貴方にとって
愛するということは
頭がよい女を見つけるということだったと私はその時知った
私にとって
貴方への愛は
子供がほしいということで
貴方の精子があの瞬間要るということだった
私への貴方の愛は
子供がほしいことを隠して
私の頭のいい卵子がどうしても要るということだった

いやになると無性にいやになる
好きになると嫌いになる日がやって来る
愛しても
ほしいのは精子と子供だけ

22:31 2012/02/27月曜日

2012年2月26日日曜日

存在 散る花の形をした国家

手を振って誰かと別れた夕べ
誰かと生きれば
誰かを捨てている
春には人の生きる姿がよく見える
けれども人の歌が聞こえない
散る花の形をした国家の

この散る花の国家に在っては
詩人である私は詩人ではない
腐った詩人なら
散って泥に塗れる花の如き詩人なら
この国は歓迎する

私は詩を残す必要はない
私も残る必要がない
私の詩は消されては消え
消されては千切れ
もう私はこの詩の何処にもいない
私の言葉とイメージはこの詩の何処にもない

ダンスは自由ではない
ステップは人から自由を奪う
詩は自由ではない
詩人である私が自由ではないから
詩である私の詩が自由を許されないから
詩とは言えない貴方の詩に自由が許されているから

言葉は人から自由を奪う
人は定型詩に自由はないという
定型詩は詩人を自由にする
特定の音
特定の意味
特定の文字の数
特別に定める器に特別な何かを盛り付けるのは容易いことである

手を振って誰かと別れた夕べ
誰かと見れば
誰かを揺さぶり
花には人の生きる姿がある
けれども春の歌が聞こえない
散る花の形をした国家の 

23:30 2012/02/26日曜日

2012年2月25日土曜日

存在 貴方の中に

あんなに滑らかな手
貴方の中に視野を
私は盲目だったから
貴方の中に
誤りのない働きを訪ねる
貴方の中に
明日は具わったもののように有る
去って行った多くに代わって

あんなに滑らかな文理
貴方の中に覚めない朝を
私は道の畔(ほとり)治り難い肉だから
貴方の中に
泥で練り固めた苦(にが)い思い出を
貴方の中に
いちばん赤い血と無言の星
逃げ出せない私に代わって

あんなくず
あんなまね
水に浮かんだ木の切れ
レールに置かれた石
二日以上の酔い
定まらない生と
決めたような死
あんなに片寄ってぺちゃんこになって
貴方の中に
字を探し
字の真の姿を手に入れたでしょう
逃げ出せない貴方に代わって

22:51 2012/02/25土曜日

2012年2月24日金曜日

存在 新しい女

新しい女
新しい唇
新しい約束
あなたは新しい女が好き
新しい女を求めるのは
古い女に飽きるからでしょ
四季を納める手紙
見事に問い詰める声

新しい女はあなたに何をするの?
あなたを躓(つまづ)かせはしないの
ぐるぐる回るわ休みなしに他愛のない世界
今思ったのは
夕暮れには未だ生まれない子
愛とは名付けられないあなたへの傾斜

新しい女
新しい口紅
新しい気がかり
ベッドの私の匂いを忘れて
絵や本やピアノにギター
豊かな疎外を捨てて
新しい女は自由を思わせるの?
古い女は不自由の出口さえ見つけられない
ケモノの海で
あなたと私の間に未だ生まれない子

新しい女はあなたの背に凭(もた)れるの?
あなたを飽きさせはしないの
どうしようもなく世界は結ばれて往く
今思ったのは
夕暮れには未だ生まれない子
希望とは名付けられなかったあなたへの傾斜

23:31 2012/02/224金曜日

2012年2月23日木曜日

存在 「幸福よ」と君が言うと

「幸福よ」と君が言うと
私は君から遠く離れてしまう
幸福は欠陥を持った不自由だ

幸福には汚れてほしい
幸福には肯定ではなく否定のようであってほしい
幸福には飢えてほしい
幸福は向き合うと切れてほしい千切れて終いに放り投げたい

閉じもせずに明けて往く朝より
開けて開けてそのうち失われる私より
幸福は限りなく物で有である
取り得のない女と
ふさわしくない男の
野火のように広がる幸福

「幸福よ」と君が言うと
砂地に縺れて見る人を片目にしたい
幸福はぐらつく記憶強いられた抱擁
「君しか眼中にない」と貴方が言うと
私の中の貴方は縮籠ってしまう
幸福は褪せた容貌

幸福には穢れてほしい
幸福には定まらないで立ち上がらないで這ってほしい
幸福には不幸と名付けてみたい
幸福は引き裂いて切り刻んでその後
夢のように過ぎて逝(い)く

20:55 2012/02/23木曜日

2012年2月22日水曜日

存在 ありふれた言葉

ありふれた言葉
失われてしまったのではなく
捨てた
そうならざるを得ない単純さで
生活を成り立たせていた

余所余所しさはいつもありふれている
疑いもせず未来を閉じ
約束を抜きにして
愛は
いつの間にか
いつも
ありふれた眺めに飽きる

ありふれた言葉
悲しい、寂しい、苦しい
心の中には
身を捩(よじ)らず知らんふりをしていたい言葉が
飢えた愚か者のように吊るしてある

私は何処にも行けない
従って私の乳房は自由ではない
本当のことは胸と少し違うところにある
古色を帯びありふれた時間と言葉
すらりとしたのっぺらぼう

22:22 2012/02/22水曜日


2012年2月21日火曜日

存在 私は影になり私は忘れられる

口を閉じなさい
私は話さない
口に出さない
私は話せない
嘆き悲しむことが出来なくなり
食べることが出来なくなり
私は影になり
私は忘れられる

再び逢わない
私は愛さない
愛していると貴方が言う
私がそう言う
今日貴方が愛して
明日貴方は私を愛していると
その事に意味はない
愛は抱擁ではない
今日貴方の思いが私を危険に陥れ
明日貴方の一部であるかのように貴方の声を聞く

捜し求め惹かれ
もがきながら空虚の意味を
窓のがらすに否定の理由を
目覚めた其の朝信じる全てを
破り難いくちびるに連れて
貴方のところに往く

耳を塞ぎなさい
私は聞かない
私は知らない
私は聞けない
何も答えず
何も言わずに見ている
私は影になり
私は忘れられる

22:22 2012/02/21火曜日

2012年2月20日月曜日

存在 もし明日が来れば

目を開き 言葉を続ける
もし明日が来れば
思いも寄らぬ声で
約束を握り締めます
もう一度もし明日が来れば
試みに歩く音を抑え
考える速さを抑え
信じる今を掴まえます

昨日の哭(なげ)きを振り返る
明日が来れば
なおさら腑に落ちない口の形
痛みを吐き出す言葉
もう一度もし明日が来れば
一緒に出かけて
気まぐれに花を求めましょう

光を忘れた部屋
明日が来れば
空の下 乱れた影を水に眺め
もう一度もし明日が来れば
夢にも思わない
優しくもない
過ぎた日に目を落とします

23:55 2012/02/20月曜日

2012年2月19日日曜日

存在 閉じた教科書

歴史は解(ほど)けない
結ばれたものがないから
私は此処にいる
誰も私を知らない
測り知れない私の明日を知らない
失っただけの昨日を知らない

閉じた教科書
鎖された其のページ
歴史は流れる川
一晩中過ごす映画館
一人だけの席
誰も私を知らない

歴史に入口があり
人に出口がない
証明出来ない私の家の掠奪と殺戮
歴史は是とし人は非とされる
語り合われることのない支配と被支配の顔

閉じた教科書
馴染みのない部屋の空気
悲鳴、陶然たる陳述
或る朝、足音
階段を上る恐怖
貴方をどれだけ愛しているかではなく
貴方を幸せにしたいでもなく
無造作に記される支配者の記憶
誇張される服従する者の権利と存在

私達は此処にいる
誰も私達を知らない
私達の開けっ広げな明日を知らない
弾みで痛んだ昨日を知らない
歴史は解(ほど)けない
結ばれた実(じつ)がないから

23:09 2012/02/19日曜日

2012年2月18日土曜日

存在 台所では

台所では一刻も早く意識を失い
嫌悪を丸め込み
明瞭を閉じ込め
夜明けまでに肝心のことは振り捨てて
打ち明けるとしたら一言二言

台所では
言わなくてもいい自分がトマトに似てしまうので恥ずかしい
理不尽に駆け寄っては
母は暗い窓の向こうを見詰め泣いていた
開けっ放した戸から引っ張り込みたい希望
私は母の後ろで分別というものの哀れを知った

台所では
爪を齧る
林檎を齧る
途方に暮れた気分を貪る
辱められた生命(いのち)
曖昧で暖めて噂話に花を咲かせる

そして何だか肩の方へ 
肘をついた指に触れず
台所では根ほり葉ほり
聞くことにも夢中になれない
母は料理を並べて見せた
逃げ出さずに不自由を握り締めていた

21:53 2012/02/18土曜日

2012年2月17日金曜日

存在 私は言葉

私は私でしかない
私でしかありたくない
私はただの言葉
抱き締めそして葬る
予感はお前の傍を離れない

広い空がある
私は切れ切れの雲
接吻(くちず)ける風
私は逃げる小鳥
予感は不意に眉をしかめる

広い道がある
私は小鳥
私は口
ただの言葉
雨のように喋り
思い出したように黙る
予感は息を切らし胸で済んでしまう

誰も彼も私でしかない
私でしかありたくない
私はただの言葉
なんでもない希望
どこまでも絶望
予感は空想と幻想、罪と罰

広い海がある
私はただの言葉
私はくちびる、血
刹那の囚人
ただ寄せただ引き返す
ただ沈みたまらなく沈み
夢のように赤くなる

23:08 2012/02/17金曜日

2012年2月16日木曜日

存在 階級はない歴史はない

労働は当然のことであり
プロレタリアートに特別な権利を主張する権利はない
ブルジョアジーが労働しないこともなく
資本家もプロレタリアートである
資本家がブルジョアジーであるということもなく
労働者がブルジョアジーではないということもない

階級はない
支配したがるものと
支配されたがるもの
支配されないものがいる
お金を持つことは
人を支配し
物を独占し易くする
人は支配されることはない
物は一人の物になることはない

人が全ての人を支配し
一人が物の全てを独占する時
人は全ての人に支配され
物の全てを持ちながら全てを持たない
全ての物を持つことはそれ以上の富を齎す物が何一つないということである

プロレタリアートを名乗る者は支配されたがる者
真の労働者ではなく
奴隷である
人の奴隷である
共産主義革命は支配する者が支配されたがる者を演じたに過ぎない
歴史は変わらない
歴史は何処にもない
今日、此の時、此の場所に私だけがいる
私の事を知る者はいない
歴史はない
歴史は、今日、此の時、此の場所で
誰にも知られず終わる
支配欲と支配されたがる堕気が
ない時代ない事を歴史と呼ぶ

22:01 2012/02/16木曜日

2012年2月15日水曜日

存在 言葉を殺すことは知っている 言葉を生かすことは知らない

言葉を殺すことは知っている
言葉を生かすことは知らない
人を殺すことは知っている
人を生かすことは知らない
自分を殺すことは知っている
自分を生かすことを知らない

このように考えるならこれらのことが可能である
可能であるなら人を殺すことは矛盾としない
可能の上に立てる合理性は何もかも克服する
可能は合理的に追求されやがて非合理性へと向かう
合理性は偶然から生まれたにも関らず
偶然を必然とみなし
選択を誤り続け
無理を法則と定め
これこそ理念であると認識する

言葉を悪くすることは知っている
言葉を人の当然とすることを知らない
人を機械にすることは知っている
人を生かすことを当然としない
自分を物にすることは知っている
自分を人とすることを知らない

22:13 2012/02/15水曜日

2012年2月14日火曜日

存在 魂の舌

いつも貴方が分からない
日に照り映え、切り取られた火のような面
冷え生きることの意味を見詰め続ける

空を往く鳥と悲風に吹かれる
不可避なドラマ
扉を閉めずに組織化され我は失われる

花が閉じる
冬の広野
終(しま)いに逃げ込んだ晩
頭の上私と相違する星の囀(さえず)り
土の下に埋まる魂の舌

私は貴方が分からない
憂鬱は死人だけに首を振り
絶望は歌を歌う者に深入りする

21:26 2012/02/14火曜日

2012年2月13日月曜日

存在 戻りたい家があった

戻りたい家があった
私は昔其処に住んでいたが
其処に私がいたかどうか分からない
私は私を知らなかった
私の身の周りに私を脅かす偽りはなかった
私は偽りと真実の中身を未だ知らなかった

夕暮れには荒れ果てた内部に踏み入り
ひとり立ち尽くした
風にざわめく一切
すべり落ちる言葉
運命が傾き
体が離れ
こころが離れ

純でないものは遺らず覚えていない
戻りたい家がある
私は隠された有為を知らなかった
与えられた似合わしい器が見つからない
水の底に沈む損なわれた器
それが私だった

私には戻りたい美しい家があった
引き入れ注ぎ込む陽
線で描く夢とその意味
言葉を知らなかった
翳りを理解しなかった
愛玩するだけの孤独
運命が傾き
外部に自由を求め無為を知った

22:42 2012/02/13月曜日

2012年2月12日日曜日

存在 存在

人が人であることを明らかにする時
ガラスのポットの底 一つの言葉
湛える水 私の姿
想像を逞しゅうする
床に落ちて
列車の音 虚無の顔を求め
書き終えるケダモノノ短編

人が人であることを明らかにする時
ガラスの瓶の底 夙(と)うに済んだ形
海の底 桜の路
私が支配されるものは
私が支配するもの
私が支配されるものは
私が支配されたがるもの

人が人であることを明らかにする時
初めて其処に人が存在する
人が人として存在する時
人はガラスの破片の上
一つの言葉
私の姿
想像を逞しゅうする

22:51 2012/02/12日曜日

2012年2月11日土曜日

存在 考える

何を考えたと言うのか
何故考えるのか
考えると言ったところで
文字を幾つか並べ 傾いた方向を知っただけ
私が私に話しかけただけ
こころの器の中
文字の多くは欠け限定される

こころは器ではないから
私も器ではないから
こころの中に蓄えられる文字はない
私には蓄えた文字がない

本を開くと意味を失う私と私のこころ
認めるイマージュの断片が何かに引き寄せられ、一枚の絵になろうとする
本は器だから
本は文字の器だから

私が考える
私が沈黙する
思想は言葉の傾きである
怒りと歓びの占める面積
平和と戦争のシーソー遊び
変形した文字
頽廃と堕落
思想は本の中にある
人のこころは器ではない
人のこころに文字はない

何を考えたと言うのか
何故考えるのか
考えると言ったところで
文字を幾つか並べ 傾いた方向を知っただけ
私が私に話しかけただけ

21:29 2012/02/11土曜日

2012年2月10日金曜日

存在 一日の理由と意味

昇る事を許された日
許され焼ける空 紅い色
青褪めて沈む夜 其の声
一日が求める理由と意味

破滅はまるで飽きた椅子
名付けられた世界から遠ざかり場を見失う
在るが故に自らを欠く物語
一日の理由と意味を夢中で求める

運命に結ばれる一群の星と
運命に結ばれる一群の地上の人
いのちの定めの美しい線分
何ひとつ曖昧に振れるものはない
一定の疲れと距りを与えられる

23:52 2012/02/10金曜日

2012年2月9日木曜日

存在 別れたの運命と

別れたの運命と
手を離すから振り向かないで
唇の意味を急いで拭き
希望と空(うつ)ろに立つ足
自由は光と共に成っているのに
他人(ひと)に渡すのを忘れている

生きていたくないの私と
私を失って私を理解し
貴方は拒否して私を認める
明け方には本当の話がうれしい
自由は光と共に成っているのに
行きずりの街の何人(なにびと)も
時の内に捨てている

別れたの運命と
時折り花を摘み真っ直ぐな道を歩いた
結末は何時も屑籠
孤独と不安を連れた背
自由は光と共に成っているのに
私が持つのは空ろ

23:46 2012/02/09木曜日

2012年2月7日火曜日

存在 というもの

一塊りの恥ずかしさ
疎外された孤立の果て
進む方向にまかせて
目的の中に隠れたあらゆる美と矛盾する
望む物語の代わりに手にする
盲目的支配の沈黙と孤独

手を差し出し、否定し
何かを言おうとペンをとる
バランスをとるための長い死
言葉に閉じ込める生
其処にある辻褄を引き出す

人生に求めるのは、というものである
私というもの
彼というもの
なかったかのような悦び
空というものと
地というものと
初めというもの
終わりというものの
在らざるを得ない色
口を閉じ
耳を塞ぎ
目をつぶらなければならない容(かたち)

21:37 2012/02/07月曜日

2012年2月6日月曜日

存在 其処に私がいる

今 刻み付ける点と線
唯ひとつの理解を望み
ひとえに調子を失う言葉

其処に私がいる

物事に筋道がある
原因と理由があり約束がある
踏まなければならない道に拘束され支配され
同じ振るいにかけ同じ道を往く
常に変わらないのは時刻と声

人の顔を付け
奪う手と
踏み付ける足と
ひとつの容器の中に
押し込め捻じ曲げ

其処に人がいる

数で欠乏を思い
量で品位を損う
不毛の種(しゅ)

其処に私がいる

23:32 2012/02/06月曜日

2012年2月5日日曜日

存在 受容

もっぱら強いる姿
しなやかに受け容れる
ドアを閉め
明かりを消し
目を閉じる
私は残されて其処に

尽きることのない光
空ろに
道筋に折り重なる慰め
ドアを開け
自由に歌い
耳を傾ける

何気なく強いる
しなやかに受け容れる
雨が降り
窓を閉める
カーテンを閉め
分かれを告げる

一層強いる
この上ない空 白く
ひとり それに合うよう
家に処(い)て受け容れる

22:56 2012/02/05日曜日

2012年2月4日土曜日

存在 今ここに人の残虐性を糾弾する

今ここに晴れ晴れとして終日ひとり
過ぎた日の打ち明け話に心を奪われ
彼のいた場所に座り込む

今ここにおぼろげな地図 遠い町
惨めな憧憬断ち切り
揺れながら紙切れ

今ここに有る
生まれてから声に従い
満たされ、許し続ける
どんなものであっても閉ざされず
仕組みから解かれている

今ここにこころの向く真理
忘れる名声
今ここにおし黙って
自我を傷つけた者の残虐性を糾弾する

今これから
声に従い
満たされず許さない
こころの内に口を
いのちのうちに目を
名誉を傷つけた者の不合理を糾弾する
今ここに人の残虐性を糾弾する

23:58 2012/02/04土曜日

2012年2月3日金曜日

存在 人権とは私が生きて私が死ぬ権利

生まれる前、いのちがほしいと言っていない
決して、ヒトに生まれたいと言っていない
事実、私は、人の権利を剥奪され
人の外で生きることになった
一回性のいのち
それすら距離がある

人権は
私が生きて私が死ぬ権利
普通に生きて普通に死ぬ権利
普通に生きて行けない
普通に生かさない
普通に死んで行くことのない
普通に死なせない
歴史が証明する人権宣言とその認識の下劣
人権宣言は
普通に生きていてはいけない
普通に死んで行ってはいけない
と謳う

政治は、ヒトの存在の妥当性を徒に提起し
人間らしいという言葉によって、ヒトの柔軟性を硬直させる
政治は、自己疎外を後押し
政治は、ヒトの自己憐憫を自己愛的社会主義体制に組み入れる
政治は、ヒトが生き、死ぬ邪魔をしてはならない
政治は、ヒトがどのように実現され、主体性を持ち得るか見守らなければならない

人権は
私が生きて私が死ぬ権利
普通に生きて普通に死ぬ権利
普通に生きたい
普通に眠りたい
普通に死んで
普通に運命のように死んで
人類の誇りが証明する人権宣言とその毀損して来た名誉
人権宣言は
普通に生きるな
普通に急いで死んでくれ
と謳う

生まれる前、いのちがほしいと言っていない
決して、ヒトに生まれたいと言っていない
事実、私は、人の権利を剥奪され
人の外で生きることになった
一回性のいのち
それすら距離がある

22:00 2012/02/03金曜日

2012年2月2日木曜日

存在 生存・真の秩序

其の秩序に価値がある
形状の持つ絶対
生存の暗黙的了解
私の体には私の体が当て嵌まる
今の私には私が当て嵌まる
明日の私に今日の私の身体と精神の形状は重ならない
代え難(がた)い「今日の私」という一種の組み合わせ

其の秩序に価値がある
其の細胞は其処でしか生きない
其の眼は其処でしか求める物を探す事が出来ない
視界は許されて握る
人の形 拵(こしら)えられた様子
人は地球で生きる
人は大地で生きる
私は此処でしか生きられない
貴方は其処でしか生きられない
私と貴方は だから
重なっても重なっても一つになる事は出来ない
私は私で有り
貴方は貴方で有る

其の秩序に価値がある
生生流転
「今日の私」という一種の整然とした組み合わせ
私に成り得ない其の汚れた手連ねた線
私で有る形を忘れ其の品位を墜(お)とす
形状の持つ絶対
生存の暗黙的了解
社会秩序を犯す肉体の整形
社会秩序を犯す精神の矯正

22:35 2012/02/02木曜日

2012年2月1日水曜日

存在  何故此処にいるのか

目が覚めると
何のために此処にいるのか
一人離れて此処にいるのか
海から風が吹く
重なった手や足が此処の風景としてある
冷たい灰は叫び声を上げない
やわらかい寝具をかぶって
移った匂いーそれは捨てられたものの匂いのようであった

ぼんやり見ている打ち明け話
寂しいのは長い夜ではなく飛び起きた昼
日に照らされたままいつまでも身動(みじろ)ぎしない何か
遠い鐘の音
部屋で埃(ほこり)をかぶる挿し絵

突然口と言葉は不思議な不安の中に入ってしまう
望んでいることなどないに等しい
それでもようやくトランクに詰めたけれど
夜が明けると断ち切れる存在

海から風が吹く
何故此処にいるのか
離れて一人此処にいるのか
冷たい灰は叫び声を上げない

22:09 2012/02/01水曜日

2012年1月31日火曜日

支配 すべての人は孤独です

ほんとうはからだは孤独を好みます
ほんとうはこころは孤独を好みます
すべての人は孤独です

誇らしげな顔つきの人形
永久に変わらない土偶の有り様(よう)
くれないの血の管(くだ)に望みをかける

生きているからだはわだかまりのない清い流れに導かれ
清い汀(みぎわ)に止まる
手には何も持たず、寄寓に住む
胸のうち 広い野を
咲く花を
移ろう雲を

ほんとうはからだは孤独をを好みます
見つめるあなたが近過ぎては見えません
話すあなたが近過ぎてはその言葉が聞き取れません
あなたの言葉を信じることが出来ません
人の胸の鼓動が伝わると私は私ではなくなります

ほんとうはこころは孤独を好みます
私達は一様に、混じり気のないものを好みます
夕べに太陽は落ち
その時こころは沈むことを望みます
血は空を染めてくれないに
人の血は一日の汚れを落とし眠りに

ほんとうはからだは孤独を好みます
ほんとうはこころは孤独を好みます
すべての人は孤独です

22:26 2012/01/31火曜日

2012年1月30日月曜日

支配 幸福

私は生まれて安らかで
私は私であった
私は未だ言葉を持たず
私が保たれた

春の日の薄い花
浅い海の薄い貝
砂の底の生の証明
手と足
腹と背
ひとつなぎの私の家を有(も)った

私と人の区分けには
私の位置が
私の言葉が
私のくちびるがなければならなかった
私の家と人の家の間に壁がなければならなかった
私の家と人の家の間に自由がなければならない
女の家と男の家に自由がなければならない
女と男の間に壁がなければならない
女と男の間にくちびるがなければならない
女の位置と男の位置がなければならない

私が主体であるために名誉がなければならなかった
名誉はいのちである
私は述懐を強いられず
誰にも述懐しない

私はいつか私であることを離れ
生きて行くにつれ
幸福であるか
不幸であるかにこころを奪われた
私は不幸に片寄る言葉だけを覚え、幸福を蓄える言葉を覚えられなかった

22:03 2012/01/30月曜日

2012年1月29日日曜日

支配 鎖

朝に奪われた抱擁
夕べには人の鎖に慣れ
やがてそれすら自由に思われる
昔から日は繰り返し空に燃える

貫き通す無理解無分別
胸に潮は満ち
意識は眠る
ますます人は鎖を必要とする

何でもないように劇は
犠牲を供し慰めを締め出す
くどくどと色とりどりの叙述
一層我を忘れるリズム

夕べには失われる名誉
欠乏の充足に当てはまらない抱擁も
やがてそれすら仕合わせに思われる
昔から日は繰り返し海に沈む

23:54 2012/01/29日曜日

2012年1月28日土曜日

支配 呼吸に背く

呼吸に背き死の口に
窓が開(あ)かない
坂を下るバスをひとつ見送る

まもなく迎える花のとき
光に届かず
照らしても
結び付かない多くの文字

呼吸が支配する生
呼吸する限り
死に向かうことが出来ない
呼吸と噛み合う慎み
繰り返される生の手順

私達は自由なものではない
言論に自由はない不自由がある
行動に自由はない不自由がある
呼吸には自由がある
生きる自由がある

呼吸の自由に背き
口を覆う
日が赤い

21:24 2012/01/28土曜日

2012年1月27日金曜日

支配 愛

普遍的地上的利己主義的
深い深い泥の川の研究

愛は時間ですか
愛は具えていますか
愛はすべてを

分かり易く扱って下さい
疲れても実を結ばないで下さい

書物に書いたかのように
愛は願望であって
感動的に理解されない

宗教的運命的形而上学的
澄んで清い空の絶望的研究

愛は歪んで畸形ですか
愛は圧倒しますか
すべてを

やさしく語りかけて下さい
例えば空ろな神話

港であるかのように
愛は着く先であって
支配的に導かれる

22:27 2012/01/27金曜日

2012年1月26日木曜日

支配 生まれてから

生まれてから真面目にさまよっている
神の働きで正しい道に向かっているに違いない
矛盾に寄りかかるまい
生き延びようとして反乱を起こすまい

形容詞を人のひれに並べる
動詞を人の元に返す
人は地上に舞い
星の輝る夜に踊る
自由の道筋は整った

値打ちのないものとして小さな子
生まれて直ぐに限界
彼の問いに答えるのは霞と蒙昧
歪んだ軌道を挙手して希望

生まれてから真面目に罪を重ねる
神の試しに会いながら正しい道を歩いているに違いない
割り当てられた顔かたち
生き延びようと形を不自由に変える

23:37 2012/01/26木曜日                                   

2012年1月25日水曜日

支配 見る

焼け付くような白日
両手を広げ貴方の立場に立ち
愛し合う
甘い毒を飲みふたり川を渡る

嵌め込まれた眸(ひとみ)
あなたは見る花を見ることはない
あなたは見る事物を見たいと思ったことがない
あなたはあなたの見た形
表面に現れた形
に使われることを拒む

嵌め込まれた道具
ガラスの内側外側
思い切るのも偽るのも
長い溜息の後決定する瞼の角度

じっと見詰める
見ているのは床のごみ
空の塵
手の平に象(かたど)られる印
伝える印
じっと見詰めるのはレールの向こう
ガラスの外側の向こう

嵌め込まれた眸(ひとみ)
あなたは見る夢を貪(むさぼ)る
あなたは見る現(うつつ)の理由を見たい
あなたはあなたに見えない形
内側に隠れた形
に使われることを望む

23:38 2012/01/25水曜日

2012年1月24日火曜日

支配 知る

知りたいことはもうない
耳に聞こえたからといって
聞きたい言葉はわきにおきたい
まとめて仕舞いたい
あて名を書いて返したい

おとこを知らない頃
おとこを知りたいと
おんなとおとこの境界を越え
けがれを知らない頃
けがれてしまえとぼろぼろになり
かたまりを注ぎかたまりで知りたがった

いろいろ知りたい
何も知りたくない
どうでもよい
知りたいことはもうない
知らないことの中に何かが紛れているようで
知らないことの中に背負った何かを置き

息が苦しい
決まりを知り
形を知り
力を知り
金轡(かなぐつわ)に嵌められて
戒めに囚われる

22:09 2012/01/24水曜日

2012年1月23日月曜日

支配 結縄(けつじょう)

一冊の書物
真実と虚構をやりくりしては

血を交えよう
必ず欠けたものをつくろう
必ず妨げるものにしよう
神を

香りのよい棘を
旋律を捨てた歌を
根のつかない球根を
頑(かたく)なな結び目に
神を

国家の意図と教育に国民は目覚める
檻(おり)の動物の不可避
放たれた動物の欠如
空白のまま置く事の出来ない紙に
「つまり」を求め
何故に許される言論の自由

国家は叫ぶ
読み物は不思議な眺め
残さないように偽りを
残さないように粗暴な振る舞いを
残さないように卑しい面(おもて)を
真理は叫ぶ
何故に許される言論の自由

23:50 2012/01/23 月曜日

2012年1月22日日曜日

支配 眠り

若い頃は
有るとしても、片隅において眠りは落ちるもので
ゆらゆらいんちきな揺りかごの深みにはまるものではない

成果のない結び目は生温(ぬる)く
退屈が眠り
良い事が眠り
定められた事が眠り
それにも関らずひとは眠れない
眠れないという危険に
私を見失う
何もかも見失う

若い頃は
要するに疑いもなく捨てる逃走で
人の後をつける追走で
完全無欠な一辺の慰めも感じない
何一つなくても分かったものが一つほしい
全然見えない言葉の方向
言葉の使用後の多くの犠牲
言おうとした言葉と、言えずに呑み込む言葉の愛されない
他の人
別な人
私に帰れない
私に帰るまでの迷走

眠りは一日の正当化
眠りは逃げられない昼夜の叙述
あるかのようにあり、なくてはならぬようにあり
真理であるかのように要求し
一日に織り込まれた生命の強制
日の終わりの充実に欠かせない虚構

若い頃は
有るとしても、片隅において眠りは落ちるもので
ゆらゆらいんちきな揺りかごの深みにはまるものではない

22:06 2012/01/22日曜日

2012年1月21日土曜日

支配 意識

私は存在しなかった
私は私を求めた
私を求めて
私は私の家を探した
私の家は遠ざかり近付く

私は私を求めた
私を求めて
私は私を欲しい人私を欲しがるものの下に身を置いた
私は沈黙を唇に隔たりを胸に抱いた

人は果実を求める
私は果実に成り得なかった
満たされない果肉
満たされない果汁
私は夕べに祈りを朝に翼を折った

時間は私を無意識から意識の世界に運ぶ
硬直した失望
しっくりしない希望
満たされないという豊かさから離れられない
満たされたいと願う不確かさを踏み越えられない

私は唯一であり
私は正しく私は誤らない
貴方は私が間違っていると言う
貴方は私に正しくないと言う
貴方は唯一であり
貴方は正しく貴方は誤らない
私は貴方は正しく貴方は誤らないと思う

私は寂しい傾きに安んじ
寂しくないという方向に不条理を追う
何処にあっても満たされない
何を抱(いだ)いても満たされない
何処にあっても満たされる
何を抱(いだ)いても満たされる

私は今も存在しない
私は私を求めない
私を求めずに
私の家を去った
私の家は遠ざかる
私は私となった
私は今も存在しない

23:40 2012/01/21日曜日

2012年1月20日金曜日

支配 妬(ねた)み

夏 弄ぶ人の指
捩(ねじ)り曲げる私の脚
余所(よそ)の家に火を点け取り引きをする
私を卑しめてあなたを欠いて果てしなく広がる海

吸い寄せ一矢を報いる
環(わ) 美しい彩り七日目の
田舎のひたすらな打ち明けと往きつく過(あやま)ち
私をつかんであなたを冒(おか)して染み透る深い潮

かまわず洗い流すさびしいあそび
閉じた巣成さない名
鳥は歌い詠嘆の泥濘(ぬかるみ)
私を張り詰めあなたに咲いてしまいそうな夕べ

夏 つまらない爪
有らざるを得ず結ぼれる
遠くに見える余所の人 読み終える安い顔
私は溺れてあなたをつかんでいずれにしても果ても知らず抱く海

23:39 2012/01/20金曜日

2012年1月19日木曜日

支配 神の抱擁

私達は形になりたかった
私達は形あるものになりたかった
私達は形の意味を知らなかった

体が有った
こころが何処にあるか探し続けた
私の心は見つからなかった
貴方の心は何処にもなかった
体はこころを探すために
こころの中に貴方の愛と
私の貴方への愛と私の私への愛を探しに出かける

私に 触れる指が有り
貴方のくちびるに触れる
貴方に 抱(いだ)く腕が有り私は身を委(ゆだ)ねる
貴方に抱かれ
あの人と分かれた
あの人を抱(いだ)き
貴方を忘れた
私達は神の抱擁の内に有ることを知らない
貴方の抱擁の不確かさに神を忘れそして貴方を忘れる

私達は形あるものを砂で作り砂の上に置く
私は此処にいる
父が有り母が生み人となった
私に形が有り貴方に形が有る
父に形が有り母に形が有ったように

水を汲んでは花を咲かせる
花は涸れ水は尽きる
人は抱擁によって形あるものを作り絶えない
抱擁は見えないこころを受け止める
見えないこころの形を約束し不足を補う
見えない 触れても其処にない
聞こえない 皮を剥がしても其処にない

私達は神によって作られた
私達は父と母によって作られた
私達は神の抱擁の内に有る
私達は父と母の抱擁の内にある
神の抱擁の内に愛と分かれを悦びと悲しみを
父と母の抱擁の内に充実と憂愁を

私達は覆われている
私達のこころは 失っても尚包み隠されている
私達は 父母を失っても尚守られて有る
私達は神によって形作られ守られる

私達は形の有るものだけを手に入れ放さない
清らかな空の青
溢れる泪の意味や
西に沈む陽
粗末な屋根と其の下に住む人
背中を向け 其の後貴方を追う眼差し
私達は形の無いものを知らない

人は形の無い実
似たもう一つを求める
泣きながら貴方の愛を
実らない一切を永久(とこしえ)に

22:59 2012/01/19木曜日

2012年1月18日水曜日

支配 有る

部屋に何もない
手に何も持たない
ひとつ有る
ふたつ有る
増えて行く

近いところに有って
表すもの
納めるもの
脇に置くもの

縺れて有るもの
紛れて有るもの
背いて有るもの
触れずに有るもの
蔑(ないがし)ろにして有るもの

そのまわりに

おおきなひと
おおきなくに
形のよいもの
進んでいるというもの

船が荷を運ぶ
安っぽい歪曲を貫き
賑(にぎわ)いの法則に則(のっと)る
雨が止んだら虹の橋を渡る

何もない
何も持たない
天に星が有り
地上に試されて人が立つ
地の下ににあらゆる管(くだ)が潜んでいる
強くはないが覚悟がほしい
孕(はら)むあかいまだらの血がほしい

21:57 2012/01/18水曜日

2012年1月17日火曜日

支配 体は詩(うた)

体は背に置かれる
言葉は祈り
悲しみに
悦びに
くちびるに
置かれる

生きてそのまま
国に置かれる
言葉は飾り
切り離された橋
途絶える朝

体は失望して
退屈に置かれる
言葉は訪れ
訴えない
支えない
弁(わきまえ)えない

言葉はふたつの行きようのない
線の上に置かれる
体は詩(うた)
凍った血
こころゆくまで調子を合わせる時計
顧みない歴史

22:02 2012/01/17火曜日

2012年1月16日月曜日

支配 教育

山は過ぎた日を思うほど寂しくはない
山は明日の戒律ほど厳しくはない
其処にあるから登るというほどのものでもない
ねばならぬと開(あ)きもしない鍵を差し込む

春は晴朗ににして水清冽
れんげが咲き 鳥の棲み処にひなが生まれる
唯有る今日 降り頻(しき)る音
そう有りたいと美の封を切る

初恋はおそるおそる落ちてみるおんなの沼
青褪めて乗り込む男の舟
ふいに逃げ出す庭
恋は仮の家
言えない鍵穴に差し込む私の影
言いそびれてあきらめる完全の面影

海は破れた大地ではない
波は枝垂(しだ)れた時ではない
いのちは其処に生まれ其処に還ると思い込む
日が沈み日が昇り其の方に向く

23:20 2012/01/16月曜日

2012年1月15日日曜日

支配 体制

かたちは目を閉じれば見えない
受け止めて影を
動かない
かたちはそこで整えられ組み合わされる

往きつ戻りつする波
やがて
高潮がまとまった全体を浚(さら)う

一面に咲き渡る花
埋もれて多岐に散る 安寧条理
雨が降る
水は血を讃え地に血脈は絶える

暈(ぼか)して描かれる歴史のあらまし
肉の交わり
日に日に約束を塗り替える
やがて
途方もない夜明け

かたちは目を閉じ触れるとまとまった全体としてある
しかし焼き付けた絵が何処にも見当たらない
しかし部屋は仕切りを要する
かたちは継ぎ合わされ平和を象る

21:28 2012/01/15日曜日

2012年1月14日土曜日

支配 白い、白い日 白き鳥

好んで白い、白い日
おとなしやかな白き鳥
水は湧き出で尽きない
半ば覚めてはいとけなく目を瞑(つむ)る
呼び戻す時刻、物の姿

陽が沈む
ふたつに分かれ辱(はずかし)めを受ける
白い、白い日 白き鳥

濡れるままに縫い綴る文字
盗む女 白い、白い日
声を上げる白き鳥
憂いに沈む灯(ひ)
闇に一羽 慎ましく

売り歩かれる神
求めない羽
逢瀬はけものの価値
広く白く空しく
ふるえて
白い、白い日 白き鳥

22:01 2012/01/14土曜日

「白い、白い日」という詩がなくなっています。
白い、白いと読点を付けるのは私くらいです。
書いたのは、「白い、白い日」が出版される直前です。
「約束のない未知」
「私は泣かない 私は泣くまい 」
も改竄され、盗まれています。

2012年1月13日金曜日

支配 視線と指

指に言葉が付き添う
視線に読んだ本が忘れられ浸され
向かい合う物の静けさの上に
不合理が積み重なる
日は過ぎる

省みない軸の方向を視線と指先が求める
其処に人が住み言葉が溢れる
割り切れて整除された所に溜(とど)まるわだかまりと痴愚

眉を整えたいナニカシラ清らかで
澄み渡る空
結ぶ音 ふねの舵(かじ)
似たもののない踊り

指に言葉はみな隠れている
視線にみな決められてしまう
身に着けて仕舞って置いた洋服
痛まないように

濁世(じょくせ)、濁音濁点
こころが向かう遮る物
壁に明かり取り 
紙に文字を植える
治める指先と戯れる視線
私はいる

21:12 2012/01/13金曜日

2012年1月12日木曜日

支配 子供は私が育てます

子供は保育園にも幼稚園にも行かせることが出来ません
子供が行く幼稚園と保育園にはどんな先生がいるでしょう?
七歳になれば小学校に行きます
小学校にはどんな先生がいるでしょう?

子供は私が育てます

先生は「貴方の所為で」と言います
先生は「貴方の所為で」の後に
「お母さんの所為で」
その後に
「お父さんの所為で」
先生は「貴方の所為で私は」と言います

子供は私が育てます
貴方の所為でお母さんの所為でお父さんの所為で私は
教育委員会と文部科学省が守らなければならないのは
教師ではなく
子供です
子供を育てる親です

子供は私が育てます

一、ヒミツは守るよ
二、名前は名乗らなくてもよい
三、どんなことでも、一緒に考える
四、イヤになったら切ってもいい
こんな子供用電話相談所がありますか?
まるで出会い系

子供は私が育てます

22:22 2012/01/12木曜日

2012年1月11日水曜日

支配 白い 白い日

白い 白い日
太陽の落ちる道
虚無の美しい顔貌(かおかたち)
いちばんよいことはいちばんよいことである
いちばんかなしいことはいちばんかなしいことである

白い 白い日
私に向けた救済の道
にひりずむの住む家
いちばん小さいのは世界
いちばんとおい人と人のあいだ

白い 白い日
水が流れる
国を侵す美しい革命の歌
あやつるのはわたし
あやつられたいのはわたし

白い 白い日
陽の差さない片隅
もどかしい世の覚え
ぬけめなくうばうのは砂
どこまでもうばわれるのは鍵

白い 白い日
こころの中にいる                           
しんじこんでいるのは取るに足らない自由              
しんじこんでいるのは地上の自由

23:12 2012/01/11水曜日

2012年1月10日火曜日

支配 私は美しい

美しいあらまし
そうあってほしい小さい概略
試しにからだ
誰もはいっていない情景に
歩み寄る

乱れて雑多な
そうあってほしい美しい詩
試しに妹
生まれたままのやけど
写し盗る別冊
誰も眠ってしまった夜更け
それぞれに

見せてほしい
仮の有様ではない現れ
試しにからだ
物の下にあって賤(いや)しい形
私は美しい
浅く平たい象(かたど)り
ひややかな

ひときわ美しい
私は美しい
許さない練習を続ける

22:19 2012/01/10火曜日

2012年1月9日月曜日

支配 私を抱いて

弛(たる)まないように引っ張って
余計なものが群れを成す草原
春が過ぎたら花を咲かせて
夏の終わりに偽って私を抱いて
一生の終わりに 食べてしまって

弁(わきまえ)て大人にならない右の翼
偏ってさもしい左の翼
何(ど)の道隣合わせの束縛
舌で舐めて倣(なぞ)って 誓いや約束
しなくてはならない事に基づく毒を

縋(すが)って 纏(まつわ)りついて 溜息を吐(つ)く
どうにもならない 人の絵
しなやかな文字の腕で私を抱いて
そのわけは筆舌に尽くし難(がた)い貴方への伝い歩き
倒れないように 止(とど)まらないように 這って進む様(さま)

皮を剥いで 可愛い半分
追慕がなみなみとそそがれる口
秋の終わり 落ちない私を許して
冬の寝床で私を抱いて
一生の終わりに 食べてしまって

22:58 2012/01/09月曜日

2012年1月8日日曜日

支配 女だから女

女に与えられた女
女であると感知する
女であると認識する
私は女である
女に含まれる女

髪は女のように短く
爪は女のようにマニキュアを塗る
のようにしている
女を語るものはない
女に過ぎない
女に私を合わせてる
私に女を合わせている

女のような
女のような
女だから女のような

淑(しと)やかな女
やさしい女
清らかな女
女を列挙すると煩わしい女になる

踏み躙られるのはいつも女
泣かされるのはいつも女
騙されるのはいつも女
女は感傷主義に取り付かれた歌を歌う

女そのもの
女そのもの
女だから
女そのもの
女であって男ではない

23:12 2012/01/08日曜日

2012年1月7日土曜日

支配 女は解き放たれている

花は破れ
永遠の扉の鍵を持ち
女は有為に向かう
女の欲しいものは残らず神の下に有る
女の欲しいものは残らず男の下に有る
女は迷いの中に慰みを求め
不確かを招き寄せる
それでも女は穢れない

だから女は逃げてはいけない
だから女は逃れてはいけない
夫の為に死ねばいい
子供の為に死ねばいい

男は妻の為に死んでいる
子供の為に死んでいる

女は自ら女であることを認識し
女であることを受け容れ
女であることを道具としてはならない
女であることの一切は破局に向けたものではなく
女は充たされる為に存在する

女は男と等しくない
女は男と等しいことを望まない
女は支配され 男は支配する
男は支配され 女は支配する
女は子供をうみたい
男は女に子供をうませたい
女は子供をうむが
男は女に子供をうませなければならない

女は性の囚人
辱めで満たされたがる容器
女は無為に向かう
女は逃げる
女は逃れる
女は夫の為に死なない
子供の為に死なない

男は妻の為に死んでいる
子供の為に死んでいる

23:15 2012/01/07土曜日

2012年1月6日金曜日

支配 絶望

絶望に向かって歩き出すと
絶望に会わずにいられない
絶望の予感に振り回され
忍びやかにあわれみの様が根を下ろす
光を遠ざけた地
絶望と書いた神の浸る水の底

意志としての絶望に向かう
かなしいという言葉に私は私のかなしみを辿る
かなしみは私を夢中にする
涙は私を秩序に向かわせ
私は或るものになろうとする
矛盾を含むその跡形に執着する

欠けたものであることの歓び、自由
神に供えた私の肉
私はその肉の残り
欠けた私の向かう場所
隠れた其処で、私は私を暴き私は私を損ない
私は病む

夜が静かに更ける
有りのままの私
絶望は夜の色人の色である
全てを貴方にと望む
私は要らない
私は折れ曲がり崩れてなお強く
解き放たれている

21:07 2012/01/06金曜日

2012年1月5日木曜日

支配 顔

人がいる
人の外にこころがない
人の内にこころがない
こころの情景は見当たらない

私の顔に文字が置かれる
私を駆り立てる赤いくちびる
縛る皮膚
約束で結ばれた黒い穴や黒い窓
定めの配列

逃れられない肉と骨の量と仕切り
備え付けられた形は
こころを支配し 人を支配する
記憶したしすてむ
ひとつの曲線を繕うと人は死ぬ
ひとつの穴を塞ぐと人は死ぬ

空に定められた星があり
空の下 定められた人と風景がある
思い込み 思い違い
人は自身の定めと分かれてしまう
憑かれたように辻褄を合わせ
一つの文字に拘る
絶望や再生、いのちやこころといった

過ちは目に住まい
罪は頬を顧みない
責めた言葉が額に浮かび上がる
人は顔に文字を刻む
間が途切れることなく
不思議な力を持って顔に文字が刻まれる

21:03 2012/01/05木曜日

2012年1月4日水曜日

支配 支配されたい

貴方の体の下で私は見えないほど小さい
落ちる音を聞きたい
落ちる雨の音を聞きたい
古い家屋の渇いたシンク 滴(しずく)

抱擁の入口で人は手を広げ
形のまま受け容れる
等しく支配される者であり 支配する者である
手や指で掴めない寝台の上のそれぞれの背や腹
女は敷かれ 男は覆(おお)う
魚の姿でゆるく折れ
潮に殉じる
罅(ひび)割れた絵画
崩れる形式 
外れた音を求めて 砂の枠の中
落ちる音を聞きたい
落ちる雨の音を聞きたい
廃(すた)れた家屋の渇いたシンク 滴(しずく)

男には支配する幼さと
燃え尽きたケモノの値打ちのない印を
女は男を支配する者であり 解放された者である
男は海の藻屑
血の意味に操られる
女は貴方の体の下 組み合わせた記号ではなく 無い者になりたい
落ちる音を聞きたい
落ちる雨の音を聞きたい
囚われた家屋の渇いたシンク 滴(しずく)

22:09 2012/01/04水曜日

2012年1月3日火曜日

支配 あなたのことなどどうでもよかった

私はあなたを愛することが出来ない
私はあなたのことを考えることは出来る
あなたが何もしないでつまらなさそうにしていたり
私を抱いて寝ていたり
誰かと映画館の座席に座っていたり
あなたのことを考える時間が他の誰かのことを考える時間より多い
その事を愛と呼ぶのです

けれど
私はその翌日
新しい物語を書き始め
あなたを思うことはなかった
私は物語の中のだらしない登場人物に夢中で
その男のことばかり考えていた
あなたのことなどどうでもよかった
あなたのことを考えられもしない

私はそれからしばらく
その男と気が合って
うるさく言ってみたり
騙されている振りをしてみたり
支配するだけの男なんて何だかいやで
支配しているけれども本当はその男に支配されることにした

朝は「もう朝よ」と言う
「もっと寝ていよう」
「私ももう一度眠るわ」
夜は「もう寝ましょう」と私が言う
「もう少し起きているから」
「じゃあ私も起きているわ」
昼はこころを砕いて幾つもの私になる
欠けたところのないもの それを愛と呼びます
陽は欠けないのに月は満ちて欠けます
海の潮は満ちて引きます

22:52 2012/01/03火曜日

2012年1月2日月曜日

支配 支配する者は支配される者であるという椅子

私が支配する あなた
あなたに支配される者 私
私が支配するもの
CDや本やセーターやギターやピアノ
この床 この天井 
この窓と冬の暗い空 降る雪

私は貧しく 
物も言わずに 物も買わずに
支配される者を装っている
貧しいという言葉に支配された者のイメージを崩さない
疲れて
支配される者は支配する者であるという椅子を見つけ座る

私は今日この部屋で眠り
明日もやはりこの床に眠り
この天井の下でひとり食事をとる
私はこの空間に支配された者であり
又この空間を支配し得る者である

人に知られないように 私があなたを思うとき
私はあなたに支配され
この部屋の時計と気温と清潔さに支配され
部屋の住人らしく
この窓の外の道をイメージする
その道をただ歩きさえすれば辿り着く 
あなたの 或るイメージ
あなたに支配されたい私のこころ
私自身が描くあなたのイメージに支配されている
女であることやもう若くはないという気持ち
私は自ら自由を捨てる者であり
あなたのイメージを鮮明に描くことが出来ない
あなたを愛することがどういうことなのか分からない

22:14 2012/01/02月曜日

2012年1月1日日曜日

完全のもつうれい

私が定まろうとするとき私であろうとする
私を定めようとするとき私であらせようとする
口を閉じようか
目を閉じようか
目を閉じても口を閉じても
踊る靴
見る夢

こころが曲がるとき私であろうとする
こころが挫けるとき私であろうとする
こころが苦しいとき私であろうとする
口を閉じ
目を閉じ
ひとりでに動けなくなる
右に寄り
左に寄り
じっとして動けない

解き放す関係
それぞれの行く先
このことはこうである
そのことはそうである
決められた
完全のもつうれい
完全な愛からは私は離れたい

きれいに晴れたそら
往く雲
失われ
役に立たない
背負うだけの 完全のもつうれい

22:15 2012/01/01日曜日