「幸福よ」と君が言うと
私は君から遠く離れてしまう
幸福は欠陥を持った不自由だ
幸福には汚れてほしい
幸福には肯定ではなく否定のようであってほしい
幸福には飢えてほしい
幸福は向き合うと切れてほしい千切れて終いに放り投げたい
閉じもせずに明けて往く朝より
開けて開けてそのうち失われる私より
幸福は限りなく物で有である
取り得のない女と
ふさわしくない男の
野火のように広がる幸福
「幸福よ」と君が言うと
砂地に縺れて見る人を片目にしたい
幸福はぐらつく記憶強いられた抱擁
「君しか眼中にない」と貴方が言うと
私の中の貴方は縮籠ってしまう
幸福は褪せた容貌
幸福には穢れてほしい
幸福には定まらないで立ち上がらないで這ってほしい
幸福には不幸と名付けてみたい
幸福は引き裂いて切り刻んでその後
夢のように過ぎて逝(い)く
20:55 2012/02/23木曜日
Good-bye to All That ⅩⅣ Robert Graves 成田悦子訳
-
ⅩⅣ夏の進行と共に爆弾の新しいタイプや塹壕‐迫撃砲、より強烈な砲撃、改良されたガス‐マスク、規律の全般的強化がやって来た。僕達は新隊の第一大隊と合流し、比べてみると案山子のように思えた。僕達の大隊はカムブランやキュアンシ塹壕から出て行った、ベチューヌの兵士宿舎や隣接する村々共々。この時まで僕は第一分割の悲観論を...
2 週間前