私はあなたを愛することが出来ない
私はあなたのことを考えることは出来る
あなたが何もしないでつまらなさそうにしていたり
私を抱いて寝ていたり
誰かと映画館の座席に座っていたり
あなたのことを考える時間が他の誰かのことを考える時間より多い
その事を愛と呼ぶのです
けれど
私はその翌日
新しい物語を書き始め
あなたを思うことはなかった
私は物語の中のだらしない登場人物に夢中で
その男のことばかり考えていた
あなたのことなどどうでもよかった
あなたのことを考えられもしない
私はそれからしばらく
その男と気が合って
うるさく言ってみたり
騙されている振りをしてみたり
支配するだけの男なんて何だかいやで
支配しているけれども本当はその男に支配されることにした
朝は「もう朝よ」と言う
「もっと寝ていよう」
「私ももう一度眠るわ」
夜は「もう寝ましょう」と私が言う
「もう少し起きているから」
「じゃあ私も起きているわ」
昼はこころを砕いて幾つもの私になる
欠けたところのないもの それを愛と呼びます
陽は欠けないのに月は満ちて欠けます
海の潮は満ちて引きます
22:52 2012/01/03火曜日
Good-bye to All That ⅩⅣ Robert Graves 成田悦子訳
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ⅩⅣ夏の進行と共に爆弾の新しいタイプや塹壕‐迫撃砲、より強烈な砲撃、改良されたガス‐マスク、規律の全般的強化がやって来た。僕達は新隊の第一大隊と合流し、比べてみると案山子のように思えた。僕達の大隊はカムブランやキュアンシ塹壕から出て行った、ベチューヌの兵士宿舎や隣接する村々共々。この時まで僕は第一分割の悲観論を...
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