2012年2月26日日曜日

存在 散る花の形をした国家

手を振って誰かと別れた夕べ
誰かと生きれば
誰かを捨てている
春には人の生きる姿がよく見える
けれども人の歌が聞こえない
散る花の形をした国家の

この散る花の国家に在っては
詩人である私は詩人ではない
腐った詩人なら
散って泥に塗れる花の如き詩人なら
この国は歓迎する

私は詩を残す必要はない
私も残る必要がない
私の詩は消されては消え
消されては千切れ
もう私はこの詩の何処にもいない
私の言葉とイメージはこの詩の何処にもない

ダンスは自由ではない
ステップは人から自由を奪う
詩は自由ではない
詩人である私が自由ではないから
詩である私の詩が自由を許されないから
詩とは言えない貴方の詩に自由が許されているから

言葉は人から自由を奪う
人は定型詩に自由はないという
定型詩は詩人を自由にする
特定の音
特定の意味
特定の文字の数
特別に定める器に特別な何かを盛り付けるのは容易いことである

手を振って誰かと別れた夕べ
誰かと見れば
誰かを揺さぶり
花には人の生きる姿がある
けれども春の歌が聞こえない
散る花の形をした国家の 

23:30 2012/02/26日曜日