2012年1月3日火曜日

支配 あなたのことなどどうでもよかった

私はあなたを愛することが出来ない
私はあなたのことを考えることは出来る
あなたが何もしないでつまらなさそうにしていたり
私を抱いて寝ていたり
誰かと映画館の座席に座っていたり
あなたのことを考える時間が他の誰かのことを考える時間より多い
その事を愛と呼ぶのです

けれど
私はその翌日
新しい物語を書き始め
あなたを思うことはなかった
私は物語の中のだらしない登場人物に夢中で
その男のことばかり考えていた
あなたのことなどどうでもよかった
あなたのことを考えられもしない

私はそれからしばらく
その男と気が合って
うるさく言ってみたり
騙されている振りをしてみたり
支配するだけの男なんて何だかいやで
支配しているけれども本当はその男に支配されることにした

朝は「もう朝よ」と言う
「もっと寝ていよう」
「私ももう一度眠るわ」
夜は「もう寝ましょう」と私が言う
「もう少し起きているから」
「じゃあ私も起きているわ」
昼はこころを砕いて幾つもの私になる
欠けたところのないもの それを愛と呼びます
陽は欠けないのに月は満ちて欠けます
海の潮は満ちて引きます

22:52 2012/01/03火曜日