2011年4月8日金曜日

斬り裂かれた網膜

今年は桜は咲かない
今年は桜は咲くことがない
桜が咲くことを許してはならない

時が過ぎる
時が過ぎる
時が過ぎる
どれほど時が過ぎたことか
どれだけ夜を過ごしたのだろう
朝の光はどの方角の窓から射し込むのだろう

過ぎた日々
許されない光と影の再生
斬り裂かれた網膜
穏やかな景色を保存出来ない
血塗られた思いが眼窩を埋める
貴方の灰を抱いて通り過ぎた公園に桜が咲いていたわ

私は私で在ることを許されていない
貴方は貴方で在ることを許されていただろうか
人は人で在ることを許されて来ただろうか

時は私や貴方の何処に在るのだろう
何処にも見えはしない
時は私と貴方を引き離さない
時が厳然として在ったとしても
人は時の奴隷ではない
私は貴方を忘れない
時は私から貴方を奪えない
時は私から何一つ奪わない
私はあの日と変わらない
人は私から何もかも奪おうとする
奪う人にすべてを差し出す
しかし私は何一つ渡さない

私がいて私が生きる
私は私で在りたいと願う
私が私で在る
それが悦びである
私の命の限り
時が私に迫るなら
私は時に命を委ねよう
人が私の命に迫るなら
私は人を刺す

時は私達人間から何も奪いはしません
貴方は成果を上げることを迫られています
成果が上がり貴方がノーベル賞を受賞しても意味がありません
貴方やその周囲が考える成果は成果ではありません
ノーベル賞受賞者はやがて断頭台対象となるでしょう

22:22 2011/04/08金曜日